成功する人たちの起業術とは?「はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E. ガーバー (著)
2017/08/19
あなたも一度は「自分のビジネス」を持ちたいと思ったことがあるのではないでしょうか?
そんなあなたに読んで欲しい一冊「はじめの一歩を踏み出そう」について、ザッと概要をご紹介したいと思います。
この概要を読んでおもしろうそうかな?と思っていただけたのであれば、ぜひ一冊通して読んでいただければと思います。
目次
「はじめの一歩を踏み出そう」について
この本は、20年にわたりスモールビジネスを対象にした経営コンサルティング活動を行ってきたマイケル・E. ガーバーによる著作です。
著者がアドバイスしてきた企業は25000社にも及び、本書はその経験を生かし、職人の視点からスモールビジネスが失敗しがちな原因を分析しています。そのうえで、成功するためのノウハウを明かした本です。
本書は旧版も合わせて、20カ国語で翻訳され100万部以上の売上実績を持つ E-Myth Revisted の邦訳です。米「Inc.」誌(2000年10月17日号)が行った起業家向けアンケートでは『7つの習慣』『ビジョナリーカンパニー』を抑えてビジネス書として第一位に選ばれました。また、ロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さん』シリーズでは推薦書として取上げられています。
現在では、コミック版も発売されていますので、大まかにエッセンスを吸収したい方にはここから読んでみることをオススメします。
著者「マイケル・E・ガーバー」とは
マイケル・E・ガーバーは、米アントレプレナー向け雑誌『INC』誌から、「world’s #1 Small Business Guru」(世界ナンバー1のスモールビジネスの権威)と称され、「起業の神様」とも呼ばれています。
ガーバーが提唱しているのは、「起業家の視点」(「職人」「マネージャー」「起業家」という3つの人格)、「ビジネスのシステム化」「フランチャイズプロトタイプ」「ビジネス開発プロセス」などの新しい概念です。これらによって、スモールビジネス経営の新しいスタンダードを作ったといわれ、多くのビジネススクールで教科書として採用されています。
書籍の目次
PARTⅠ 失敗の原因を知る
1.起業家の神話
2.「起業家」「マネジャー」「職人」―3つの人格
3.幼年期―職人の時代
4.青年期―人手が足りない!
5.誰もが経験する成長の壁
6.成熟期―商品よりも重要な起業家の視点
PARTⅡ 成功へのカギ
7.フランチャイズに学ぶ
「事業のパッケージ化」という考え方
8.「事業」の試作モデルをつくる
9.自分がいなくてもうまくいく仕組み
PARTⅢ 成功するための7つのステップ
10.事業発展プログラムとは何か?
11.事業発展プログラムの7つのステップ
12.ステップ① 事業の究極の目標
13.ステップ② 戦略的目標
14.ステップ③ 組織戦略
15.ステップ④ マネジメント戦略
16.ステップ⑤ 人材戦略
17.ステップ⑥ マーケティング戦略
18.ステップ⑦ システム戦略
19.サラへの手紙
「起業家の神話」という落とし穴
もし、あなたがあなたの住んでいる町で一番美味しい焼き菓子を作れる、または、抜群の手作りソーセージを作る事ができるかもしれないとする。その時あなたは、「自分のお店を開くけば、自分のビジネスをすることができる」と考えるかもしれません。
そうと決めたあなたは、新事業に向けて、家を抵当に入れ、お店を改装し、会社を辞めて本格的に動き出すことでしょう。
この本では、今あなたが取ろうとしている行動が「起業家の神話」という落とし穴にはまっている危険があると教えています。つまり、良いアイデアがあり懸命に働きさえすれば成功できると考えるのは、起業家が犯しがちな本質的な間違いであると著者は警報を鳴らしています。
この本が出版されるまでの起業に関するビジネス書では、「アイデアを磨き自力で実行しなくてはいけない」といった内容がほとんどでした。
この本では、スモールビジネスの運営に関する本を取り上げる一方で、一番重要なことについて、あなたにも関係する身近な話を例に挙げ、ビジネスの鍵となる概念を説明しています。
パイ職人サラのお話
サラは、パイ職人で全国で1番美味しいパイを焼く事ができます。そこで、彼女は、自分のビジネスを立ち上げたいと考え、パイ職人からスモールビジネスオーナーになります。起業してしばらくも間は、お客さんも順調に増え上手くいきます。
「パイを焼く」という一番得意なことに集中する一方で、優秀なマネージャーを雇い、事業の経営にあたってもらってのがその主な理由だったようです。
しかし、残念ながらそのマネージャーは高待遇の別の会社に移ってしまい、サラの事業はだんだんと立ち行かなくなってしまいます。
スモールビジネスで経営者に求められる3つのスキル
著者は、彼女の話を通して、新しい事業を成功させるための教訓を示しています。スモールビジネスの失敗する原因は、「ビジネスが扱う専門的な仕事を理解していれば、ビジネスについても理解している」と誤解しているということです。ようするに、「パイを焼くこととパイの販売業を営む事は同じではない」ということです。
著者は、この本の中でスモールビジネスの経営者が成功するためには、次の3つのスキルが必要だと言っています。
- 扱う商品の専門家といてのスキル
- 経営者としてのスキル
- 起業家としてのスキル
1つでも欠けていることが、大半のビジネスの失敗の原因だと著者は言っていっています。しかし、悲観する必要はありません。著者は、このスキルはそして、学ぶ事ができると言っています。
ビジネスのシステム化
著者は、ビジネスの本当の商品は売る「もの」自体ではなく、「どのように」それを売るのかが重要である言っています。これを「フランチャイズを事業モデルとする」システムに形式化している。大事な事は、人に頼ったビジネスではなく、システムに頼ったビジネスにすることです。そのためには、システムを潜在的なフランチャイズとみなして形作っていく必要があります。
世界的に有名なマクドナルドやディズニー、フェデックスの手法をイメージするといいでしょう。商品は一貫しており、基本モデルはシステムに基づいています。そのおかげで、誰でもミッキーマウスの着ぐるみをまとい、カウンター越しの接客ができるようになります。これにより、ビジネスは測定可能となり、一人の人間に頼らずにビジネスをまわすことができます。
また、事業の成長のための基本ルールとして、著者は以下の3つを上げています。
- イノベーション
- 数値化
- マニュアル化
たとえば、このイノベーションでは、挨拶などの簡単なところから現場に変化を加える事を提案しています。新しく取り入れた挨拶が売り上げに影響するかを評価し、その結果を用いて、売り上げに繋がる接客を改善していくことが可能になります。
イノベーションについては、こちらの記事も参考にされてください。
著者からサラに宛てた手紙
最後は、著者からサラに宛てた手紙で締めくくられます。
「ビジネスは、ゴールではなく手段である。人生を枯渇させるのではなく、豊かにするための手段なのだ」
この本では、好きな道を選ぶ事の可能性について紹介し、そこから生活の糧を生み出す技術を教えてくれています。何か自分ではじめてみたい方、はじめているけれども思うように上手く行かない方など、この本を手に取ってみてはいかがでしょうか?多くの学びを得る事ができる1冊だと思います。