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シュンペーターとは?シュンペーターの「経済発展の理論」でイノベーションを学ぼう

2017/11/23

読み終わるまでの時間:約3分

「イノベーション」という言葉を知っていますか?

 

「イノベーション」という言葉は、今でこそ当たり前のように目にするかと思います。

しかし、「イノベーション」という言葉が生まれた背景、また、その意味を正しく理解している方はどのくらいいるのでしょうか?

「革新」を意味する「イノベーション」は、1912年に出版されたシュンペーター著「経済発展の理論」で初めて提唱されました。

今回は、このシュンペーターの「経済発展の理論」でイノベーションについてザクッとご紹介します。

 

3分で学ぶ

シュンペーターと経済発展の理論

Joseph_Schumpeter_ekonomialaria

ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター(写真:wikipedia)(1883年2月8日 - 1950年1月8日)は、オーストリア・ハンガリー帝国(後のチェコ)モラヴィア生まれの経済学者です。初めて「イノベーション(技術革新)が経済を変動させる」という理論を提唱しました。また、研究活動のかたわらで大蔵大臣、銀行の頭取も務めました。

さらに、シューペンターはとても親日家であったことも知られており、ドイツ・ボン大学、アメリカ・ハーバード大学で教鞭をとっていた際には、日本人の弟子も数多くいました。

ライバルはケインズ

公共事業による景気対策など、今も実践されている手法を提唱したことで知られる英経済学者のジョン・メイナード・ケインズは、シュンペーターと同じ1883年生まれです。

2人は同じ時代を生きましたが、描いたビジョンは全く異なるものでした。ケインズの経済学にはイノベーションのように斬新な概念などは出てきません。不況の際には、政策による景気の底上げを提唱したケインズをシュンペーターは真っ向から批判しました。衰退していく経済大国のイギリスで生きたケインズと高度経済の真っ只中であるオーストラリアで生きたシューペンターでは全く環境がことなったことが、二人の考え方の違いが出たのではないでしょうか。

イノベーションとは「技術の革新」だけではない

5つ

シュンペーターは、イノベーションこそ資本主義の本質であり、イノベーションが起こす劇的な変化が経済発展させるというビジョンを打ち出しました。一般的に「イノベーション=技術革新」と思われがちですが、次のように5つに分類されます。

新しい商品・サービスの創出

19世紀に登場した鉄道や21世紀に登場したiPhoneをはじめとしたスマートフォンが例としてあげられます。

新しい生産方法の開発

21世紀に主流となった、材料を外部調達し社外の工場で組み立てる方式、iPhoneはこの「ファブレス」という仕組みを採用して生産しています。ファブレスについては、「ファブレスメーカーとは?Apple社が儲かるすごい仕組み!」をご参考にされてください。

新しい市場の開拓

1990年代に登場した紙おむつなどが例としてあげられます。

原材料の新しい供給源の獲得

ユーグレナが開発した「ミドリムシから作る航空機燃料」などがあげられます。
参考:日経新聞

新しい組織の実現

クラウドソーシング、ノマド、フリーランスなど会社に属さない新しい働き方というのも最近注目を集めています。

さらには、ノマドの進化系として本田直之さんが提唱し、読書会のテーマ本としても取り上げている「モバイル・ボヘミアン」という働き方も登場しています。

イノベーションは突然に

馬車

「馬車を並べての汽車にはならない」

シュンペーターは、「経済発展の理論」の中でイノベーションとは、「非連続な変化」と表現しています。つまり、従来の方法を繰り返しても、イノベーションは起こらない。既存の考え方の延長線上にはない新しい発想、ひらめきが突然生まれてくる。

イノベーションは「利益重視」では起こらない

情熱

「イノベーションは理性的なものではなく、『ディオニソス的』なものである」

「ディオニソス的」とは、刺激的、陶酔的という意味です。シュンペーターは、理性で制御できないほどの創造欲求、激しい情熱こそが、イノベーションを起こす唯一の原動力なのだと提唱しました。

イノベーションに銀行が不可欠

銀行

「銀行家は新結合の遂行を可能とする、交換経済の監督者である」

起業家が新しい商品や技術を生み出そうとする時、多くの場合は外部からの資金に頼る必要があります。シュンペーターは、イノベーションの達成を可能にすることが、銀行家の最も重要な軌道であると主張しています。

イノベーションの後には「不況」がやって来る

不況

「失業率が高い時期は、イノベーションの成果が経済全体に広がっていく時期と一致しているのである」

イノベーションによって生まれた新商品も、世の中に行き渡ってしまうと生産量が落ち、大量に売れ残る。その結果として、生産に従事していた人が大量に失業する。

「イノベーションが成し遂げられた後には不況が来ることは避けられない」とシュンペーターは主張している。

シュンペーターが見た「未来」

未来

「少子化」が経済成長を停滞させる

経済成長を停滞させるのは「投資機会の枯渇」と考えられている。だが、シュンペーターは「イノベーションによって新しい投資機会が必ず生じる」と主張した。経済成長を停滞させる要因は少子化と指摘する。イノベーションは個人の衝突によって始まるため、人口が減少すれば確率が下がるからだ。

会社が発展し、起業家は消えていく

会社が発展するにつれ、組織を合理化する必要性が出てくる。しかし、冷静な計算に基づく「合理化」は、イノベーションを起こす激情的な衝動とは真逆にあるものだ。こうして、起業家は消えていく。

シュンペーター関連書籍

いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ

図解 シュンペーターの経済がよくわかる本

合わせて読みたい本

論文・レポートの書き方

まとめ

いかがだったでしょうか、ザッとイノベーションのエッセンスを大まかに得ることができたでしょうか。もっと勉強したい!と感じた方は、シュンペーターに関する書籍を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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